Alexの自宅、あれから1年…
Feb 03, 2026
こんにちは,
お元気ですか?寒いのは苦手ですが、冬場の澄んだ空気と、夕方から夜になる前の「青い時間」が大好きです!
さて、今回もAlexのSubstackでの更新を日本語にしました!タンジェでのリチュアル(儀式)シリーズです!音声のみバージョンもあるので、お好みでどうぞお楽しみ下さい!
Jeffからの便り
やぁ,
元気かい?今日は土曜日の朝。僕は今、かつて僕たちが使っていた部屋に座っている。ここは、パートタイムで旋盤カットレコード盤のカッティングを行う場所であり、僕にとってのオフィスでもあり、いくつもの限定メールを書き、オーバーダブ録音も行ってきた、すべてが一つに詰まった空間で、ヴァージニアにあるAlexの家の最上階にある部屋だよ。
けど今では、この部屋は巨大な倉庫のようになっている。一年前に起きた家の浸水被害の影響さ。それでも、ここは今も僕の部屋であり、僕のオフィスでもある。こうして、君に向けてこの数行を書いているのも、まさにこの場所だよ。ミネソタで起きた出来事、イランで続いている状況、Alexのモロッコからの帰還、そして僕たち二人で向き合うことになった、かつては地上の楽園だった場所が完全な荒廃へと変わり果ててしまった現実…。壁のない廊下を歩き、かつて床だった場所から下の階が見えてしまう空間を進みながら、残されたのは思い出の品だけ。そんな、あまりにも濃密な一週間を経たあとで、僕は今ここにいる。
それでも今日、僕はひとつの出来事に、深く心を動かされたんだ。それは、モントリオール空港で、Alexと一緒に荷物を預けていたときのこと。僕たちを迎えてくれたのは、マスードという名前の男性だった。Alexが彼に出身について尋ねると、彼は「イランです」と答えた。そこから、僕たち三人のあいだで、とても力強く、美しく、そして心を揺さぶる会話が自然に始まったんだ。 20分ほど経った頃、強い感情に満たされたマスードは、カウンターを離れ、僕たちのもとへ来てくれた。そして、僕たちをハグして、感謝の言葉を伝え、これからの旅に祝福を送ってくれたんだ。その瞬間、そこにあったのは、人としての純粋な交わりだけだった。大切なのはただひとつ、共感と、思いやり。それ以外のことは、何ひとつ意味を持たなかった。
その夜、自分の「部屋」に戻った僕は、イランの世界へと深く潜り込むことにした。作家たち、音楽家たち、そして世界を変えてきた人々の存在へと。
🎧 最近聴いている音楽
ラーム(Raam)は、イラン出身の音楽家であり、作家、そしてポッドキャストのホストでもある。彼は、テヘランのアンダーグラウンドから生まれたパンクバンドHypernovaのシンガーソングライター兼創設者として音楽活動をスタートさせた。ラームは、次世代のイランのアンダーグラウンド・アーティストたちに道を切り開いた存在でもあるんだ。
2018年1月、著名な環境活動家だったラームの父、カヴース・セイエド・エマミは、スパイ行為という虚偽の容疑でテヘランにて逮捕された。そして逮捕からわずか2週間後、悪名高いエヴィン刑務所の中で命を落としたんだ。ラームと家族はイランからの脱出を試みたけど、当局は母親を拘束し、パスポートを没収した。ラームと兄は国外へ出ることを許されたものの、母親は582日間にわたってイランに事実上拘束されたままだった。
正直言って、最初に僕の心を引いたのは、この曲のタイトルだったけど、この美しい音楽の旅路を何度も繰り返し聴くうちに、きっと君も気に入ってくれるのではないかと思ったんだ。
No Music, No Life!
📖 最近の読み物
あなたは私という存在を消し去ろうとする。
けれど、この大地に、私は留まり続ける。
息が続く限り、私は踊り続ける。
生きている限り、私は語り続ける。
怒り、咆哮、そして反抗。
あなたの投げる石や岩など、恐れはしない。
私は洪水。私の流れを、あなたは止められない。
― シーミーン・ベフバハーニ
(イランを代表する詩人、人権の擁護者)
瓦礫と埃に埋もれた部屋。今のAlexの家となったその場所で、僕は一日の終わりにニュースを読んでいた。そしてふと、その日の早い時間に、ユナイテッド航空のカウンターで出会ったイラン人の男性と分かち合った、あの忘れがたい時間のことを思い出したんだ。
そこから僕は、過去100年にわたり、イランという国、そして世界に影響を与えてきた作家たちの存在を辿り始めた。ルーミーの詩をいくつか読んだあと、自然とシーミーン・ベフバハーニのことが心に浮かんだ。彼女の人生は、詩が「避難所」であると同時に、「抵抗のかたち」にもなり得るということを、強く思い出させてくれる。
検閲、亡命、政治的圧力…そのすべてを何十年にもわたって受けながらも、彼女は書くことをやめなかった。優しさと勇気、そして人間の尊厳への揺るぎない信念をもって。とりわけ、女性や声を奪われた人々のために。
彼女の声は、芸術が革命的であるために叫ぶ必要はないのだと証明している。真実であり続けること、それだけでいいんだ。僕にとって彼女は、力強い鏡のような存在だよ。痛みを美へと変え、個人的な脆さを集合的な強さへと昇華し、創造そのものを、生涯にわたる人権の行為へと変えた芸術家。
残酷な世界のなかで、なおも優しさを手放さないこと。それ自体が、最も過激で、そして持続する希望のかたちなのだと、彼女は教えてくれている。
そして、その選択は続いていく。毎日。君にとってもそうだといいな…!
🎧 今週観たドキュメンタリー
ミネソタで起きた、あまりにも暗く悲劇的な一週間を受けて、僕たちの記憶に、そして心に、長く残り続けるであろう映像や証言の数々…とても胸が痛むよ。世界のどこであれ、こうした出来事が起こるたびに、僕はいつもその土地のアーティストたちが何を語り、何を書き、何を歌っているのかに目を向けるようにしている。だって僕にとって(そしてきっと皆にとっても)、アートとは人生の魂そのものだからだ。
ブルース・スプリングスティーンの最新曲をシェアすることも考えたけど、きっと最近たくさん耳にしていると思ったから、別のものを選んだよ。Alexと一緒に1万歩の散歩をしていた時、彼が数週間前に観たというドキュメンタリー作品 『Minnesota Hardcore』 の話をしてくれたんだ。すぐに「これはぜひ皆と共有したい!」と思ってね。僕にとってアートが人生の魂だとしたら、その鼓動を生み出しているのは、そこに集う人々だ。
コミュニティ。この言葉こそ、今こそ、これまで以上に強く、大きく響くべきだと思う。この世界は、君を必要としている。僕たちを必要としているんだ。
『Minnesota Hardcore』は、1980年から1985年にかけてのツインシティーズにおけるパンク・シーンを描いた、スピード感あふれる音楽ドキュメンタリー・シリーズだよ。ミネソタのシーンは、アーティストとファンが強く結びついた緊密なコミュニティであり、Hüsker Dü、The Replacements、Soul Asylum、Rifle Sport など、数々の偉大な才能を生み出した。楽しんでいただけたら嬉しいな。
📸 今週の写真
ヴァージニアへ向かう途中!!!

💬 The Long Shadowsのチャット内容
2025年5月、Alexは僕たち全員を、彼個人のSubstackへと招待してくれた。開設以来、そこで彼は数えきれないほどの個人的な扉を開いてきた。それは単に「自由を求める」ためではなく、自由というものを、最も純粋で力強い形で実際に体験するためでもあったんだ。
同じその月、彼は自然に囲まれた、愛するバージニアの自宅での日々のリチュアル(儀式)について語り始めた。現代社会の混沌から十分に離れたその場所では、何百羽もの鳥たち、鹿、狐、熊、そして野生の七面鳥までもが、美しい山々での暮らしに日々の驚きと豊かさを添えている。
Alexがバージニアでの「3つの日常のリチュアル(儀式)」について書くとき、彼が描いているのは快適さを生むための習慣ではない。そこにあるのは、個人的で意味のある“錨(アンカー)”とは何かということ。ほぼ破壊されてしまった家へ、1年後に戻ってきた今、それらのリチュアルは、より深く、ほとんど反抗的とも言えるほどの意味を帯びるようになった。
親しんできたものがすべて変わってしまった、あるいは失われてしまったとき、同じ所作を毎日繰り返すことは、「僕はまだここにいる」という意思表示になる。それは断絶に直面する中での連続性の行為であり、時間がゆっくりと流れ、混沌の中でも意味が生き残る、小さくも意図的な瞬間なんだ。もはや守っても安心させてもくれない空間の中で、これらのリチュアルは、壁や部屋を再建するのではなく、自己、足場、そして内なる居場所を静かに再構築する行為となる。
それらは、外の世界が崩れ落ちたときでさえ、僕たちが日々立ち戻ると決めたものが、なお僕たちをひとつに保ってくれるのだということを思い出させてくれる。
もしまだこれらを観たことがない人、あるいは最近コミュニティに参加した人がいたら、ぜひここから観てみてね!
お互いに寛容になろう!
君の友人でありチーフオペレーター,
Jeff
Substackの更新情報


