Alex Henryからの言葉
穏やかな復活が始まろうとしているとき
2020年9月
親愛なる友人たちへ
元気かい?今現在の悩ましい世界的状況が、いづれ明るい未来が来ると信じる君の心を台無しにしていないことを祈るよ。特に、”信じる心”が今や僕らの人生で最も価値のある不可欠なものになってきているみたいだから。何もかも、脆弱で、永遠には続かなくて、予測できない。絶望感に負けてしまった友人について、近しい人たちに話したあと、”新しい日常”という表現をなかなか受け入れられずにいる。もしかしたら、今後ずっとこのままかもっていう思いを否定しているのかもしれないし、心が高揚するような人との交流を信じている人間として、そんな”新しい日常”を完全に拒否しているのかもしれない。別に陰謀とか妄想とか、持ちこたえることについてじゃないんだ。たとえ、以前の日常が恋しかったとしてもね… ただ本物の個人的なコネクションが不道徳となるような生活になるのでは、と考えてしまうんだ。フレンドリーなハグから、愛する人とのキスまで。ただ手を握ることさえはばかれる、というイメージが自分の中でしっくりこない。僕にとって矛盾する”現実”だよ。きっと、みんなにとってもそうじゃないかと思う。希望は信仰のように、色々な意味で形のないものだ。きっとだからこそ、友人が亡くなったあと、何か形ある手で触れられるものを作りたかったのかもしれない。“Alive.”プロジェクト は、僕がしがみつくことのできるものであり、みんなと正直に分かち合えるものでもある… ”怖がっても良い。絶望して、不安になっても良いし、その全てについて何も考えたくないって、ただ人生を生きたいだけだって認めても良いんだ”って伝える方法なんだ。その全てが生きていることの一部だと思う。
目に見えないものを通した発展

実際、“Alive.”プロジェクトの他にも、2018年11月にアルバム『Windows in the Sky』をリリースしてから経験している解放的な流れを育て続けたかったんだ。この新しくなった人生への熱意は長い間、待っていたもの。僕は徐々に認め始めてる、というか、ここ数年でどれだけ遠くまで漂流していたんだろうか、ってことに気付き始めてる。どれだけ周りが見えず、道に迷ってしまっていたのか。そしてタンジェでようやく、有り難くも衝撃を受けたんだ。それまでの5年間は、ゆっくりと自分を壊していくような感じだった。だから、僕が今、生きている明るい光を発展させ続け、その穏やかなエッセンスをみんなと分かち合うのは必要不可欠なんだ。その希望に満ちた視点を、形あるものとすることは、1人になろうと思った直感への完璧な答えだった。そして、励みとなるような経験やアップビートなタイプのライフスタイルだったツアーのあと、自宅での時間が重要な移行期間になると分かっていた。だから、忙しくすることで本当の感情と距離を置くよりも、とてもスローで色々と深く考えられるような時間へと浸ることにしたんだ。今まで費やしたことのないことに時間を割き、じっくりと物事を見つめることにしたんだよ…戻ってきた、このスリリングな感覚で、新たに目覚めた人生の基礎を築き続けるために。
アート&商業についての視点
だから、これからの数週間や数ヶ月間は色々なことが様々に変わっていくよ。まず初めに、“The Club”など僕らのプロジェクトをホストする新しいオンラインストアをオープンしたんだ。僕のアートと商業のヴィジョンはいつだって他とは違っていた。たくさんのアドバイザーたちが止めようとする中、2007年にバンドYour Favorite EnemiesのDIYアルバムを世界中どこでも送料込みで10$で販売してから、その後しばらくレコードレーベルとの契約を断り続けたのもそれが理由だった。自分たちがしたいことをするだけでなく、潜在的な利益よりも自分たちの製造費に基づいてフェアな値段を設定することによって、僕の音楽を聴いてくれる人たちに敬意を払いたかったんだ。それこそ、当時も今も変わらない僕らに共通した精神だ。
今日まで、その包括的で社会的な価値に大きな誇りを持ってきた。実際、なるべく低い値段で品質の高いものを提供するという考えに基づいて、僕らは独立したアーティストや実業家となったんだ。いつだって、僕らが学んだ新しいスキルをシェアしたいという望みを持っているよ。自分たちのレコードストアを設立したり、印刷技術を学んでグッズ製造をしたり、さらにはレコードのカッティング方法を学んだり、マルチメディア施設を作ったり。その全てが、創作をして、人と交流したいという強い望みから来ている。それこそが、僕らが考える価値の中心であり、ライフスタイルの軸なんだ。
僕らはみんな質素な家庭環境の中で育った。だから、商品を販売する際にいつも頭にあったのは、バンドをサポートしたいと思ってくれる人たちや繋がりたいと思ってくれる人たちの誰もが、高級ブティックと同じくらいサービスの良い手厚いもてなしを受けること。みんなが一生懸命稼いだお金を僕らに”投資”してくれることに、どれだけ感謝しているかをしっかりと伝えること。それは、僕にとって大切なことであり、決して当たり前に受け取ってはいけないと思っている…僕のストアから注文をする時や、メッセージを交換したり、実際に会った時などに、それを感じてもらえたらいいな、と思うよ。
“YFE STORE”から“HTR STORE”へ

2007年からYFE STOREを通して僕らのプロジェクトを分かち合ってくれた人は特に、すぐ気がつくと思うけど、僕の新しいストアは今、Jeffと僕のレコードレーベルである“Hopeful Tragedy Records”のウェブサイトに移行した。
それは別に大きなことに感じられないかもしれない。だって、YFE Storeにアクセスしたとしても、HTR Storeに自動的にリダイレクトされるしね。でも、実際それはただの象徴以上なんだ。変えようと思った主な理由は、より分かりやすいストラクチャーと使いやすいナビゲーションを通して“Alex Henry Foster”としてのソロ活動を紹介したかっただけでなく、僕らの音楽や、これまでバンドYour Favorite Enemiesの活動やプロジェクトに馴染みがなかった人でも理解しやすいようにしたかったから。
それと同じ精神で、Sef(Your Favorite EnemiesとThe Long Shadowsのギタープレーヤー)の個人的な音楽世界も知ることができるし、あとHopeful Tragedy Recordsを通してここ数年でサポートしてきた友人たちのクリエーションも一緒に発見できる。
この変化は、YFEの素晴らしく忠実な友人やファンたちにとって、”驚き”に映るかもしれない。けど、僕がソロの旅を歩み続けると決め、それによってバンドが休止状態であるということに悲しんだり、困惑したりしないで欲しいんだ。近い未来、または遠い未来に何が起きようととも、10年以上僕がバンドに注いできたのと同じ情熱で、これからもずっとYour Favorite Enemiesのレガシーに敬意を払うと約束するよ。一緒に素晴らしい旅路を分かち合った人たちにとって、バンドがどれだけ大きな意味を持つかについて、僕はとても敏感でいる。
全てが1つにまとまったストア・プラットフォーム
デザイン的な進化だけでなく、ストアでの体験自体を改善したいと思っていたから、僕はプラットフォーム自体をガラッと変え、これまで10年ほどやってきた方法を一新することにしたんだ。
だから、以前のように4つのストアから自分に適切なものを選ぶのではなく、全てが1つの同じ場所にある。でも心配しないで。プロジェクトや商品の詳細が分かるようストアには英語、日本語、フランス語での表示オプションがあるから!そこは絶対に譲れなかったんだよね。それに加えて、友人でもあるMarcelが有難いことに、ストアをドイツ語に訳してくれたんだ。ドイツにいる僕らの友人たちが彼らの言語で理解できるようにね。
だから、最初の買い物にはまた新たにアカウントを作成してもらう必要があるかもしれないけど、それ以外は、すぐに新しいプラットフォームのメリットに気づくと思う。ストアのスピードがまず一つ、そしてコンテンツの分かりやすさと、何か分からないことがあればチャットで質問できる機能も取り付けたんだ。あと、このストアの利用後には購入履歴などが見れる個人アカウントにもアクセスできる。だからきっと、この新しいストアの体験を楽しんでもらえると思う!
“SECRET FAMILY CULT CLUB”は“THE CLUB”と名前を改め 新しいプライベート・スペースと共に再出発
既に移行モードになって数ヶ月経つんだけど、およそ10年ほどSECRET FAMILY CULT CLUBとして知られてきたものを新しくしたいと思ったから、ネーミングをよりシンプルな“THE CLUB”に変えるだけでなく、その軸となる本質や機能なども刷新したんだ。だから、僕はJeffと協力して(今は彼が“The Club”を管理してるよ)新しいストアに会員限定セクションを作って、そこにログインすることで、Jeffからの限定ニュースや、無料EPダウンロードにアクセスできるようにした。会員限定のグッズとか、先行予約とかで旋盤加工カットレコードなどをゲットしやすくしたり、またはコンテストも開催したり、ユニークなクーポンとか、もちろん毎年恒例のメンバーシップ特典パッケージ(もうすぐ発表されるよ)もゲットできるよ…その全てを、これまでと変わらない個人的な繋がりを通して楽しんでいきたいんだ。それこそ、そもそも“The Club”を作った理由だし、Jeffが“The Club”を分かち合いの場所にしようと献身している理由だから。それが、心痛むような話題であろうと、単純に楽しいものであろうとね。
シングルミュージック
ストアにおける、また別の改善点は“Single Music”サービスにあると思う。これによって、とても簡単にプロジェクトの先行予約やプリセーブが提供できたり、アルバムを購入したあとのダウンロードなどもよりシンプルになるんだ。でも、僕にとって最も大事なことは、僕らの楽曲をMP3/FLAC/WAVファイルから選んでダウンロードできるようにすることだった!
USドルの通貨
僕らの社会的価値に基づいてEコマースをする時に常に悩ましいのが、通貨だ。何度、考察を重ねても、やっぱり一番チャレンジな側面だと思う。特に、以前のように4つのストアではなくて、1つにまとまったストアになったから。既にみんなの多くがUSドルで支払いをしていたから(実際の値段は君の通貨に自動的に調節される)USドルを基本にして考えるのが一番シンプルだと思った。特にEコマースにおいては、それが最も一般的でもあるからね。というわけで、多くの人たちにはあまり大きな変化はない。
大きな違いを見るのは、フランスに住む友人たちだ。2007年当時にオンラインストアを開設した時には、フランスの規制に基づいて通貨はユーロだった。けれど、USドルになることによって、ユーロが持つより高い価値のメリットをすぐに実感するだろう。10年以上も5%~10%ほど、みんなより高い値段だったから、これはフェアな調節だと思う。
そして、ケベックやカナダに住む友人たち、君たちこそ、ストアを新しくすると決めた瞬間からの話題の中心だった。ストアをUSドルにするということは、カナダドルで払えなくなることであり、それは大体25%ほど値段が一気に上がるということだ。ストアを変えたいからという理由だけで、じゃあカナダ人にはこれから25%ほど高いUSドルで支払ってもらう、というのは受け入れられない事実だった。けど、その問題を変えられるような良いアプリケーションが見つからなかったから、カナダ在住の人たちに25%オフの割引コードを提供することにしたんだ。ストアは自動的に君のいる場所を検出し、適切だと見なされた場合にメッセージが表示される。そのメッセージに書かれたコードを支払いのときに手動で入力してもらわないといけないんだけど、今考え得る中で、この方法がアメリカとカナダドルの差額を補うベストな方法だと思った。
僕は包み隠さず話しているけど、それはみんなを信頼しているからで、カナダに住んでいない人がコードを使おうとするのを取り締まったりする必要はないだろうって思っているよ。
新しい支払い方法&クレジットの選択
きっと君が喜ぶであろう、また別の大きな改善点は新しい支払い方法を追加したことにあると思う。PayPalの他に、クレジットカードでの支払いが可能になったんだ。
これまでクレジットカードを使えるようにして欲しいという要望が多くあっただけでなく、Eコマースの世界でも急速にポピュラーになってきた均等払いのサービスも付け加えたんだ。今やメジャーなブランドはこの均等払いの支払い方法を導入してる。何かというと、今日買ったものの支払いを金利なしで4回に分けて支払うというもの。
この均等払いについては、僕らの中で少し議論になったんだ。というのも、僕らをサポートするために負債を負うようみんなに勧めるような感じに思われたくないなって思って。変な風に聞こえるかもしれないね。特に僕らは、まさにそれを移行したストアで分かち合おうとしているし。それでも、僕にとっては、いつも何となく心配だったんだ。そのこともあって、商品の値段設定には、一際、注意を払っているだけでなく、プロジェクトをシェアする時期やタイミングにも責任を持って考えているよ。僕にとっては、いつだって僕らが持つ繋がりや友情に敬意を示す方法の一つなんだ。
だから、音楽と商売が持つ、社会的、道徳的、経済的パラドックスについて”討論”したあと、均等払いのサービスを提供してくれる会社を探して、ようやく“FOUR”のサービスを利用することにしたんだ。この会社を選んだのにはいくつか理由があるけど、そのうちの一つが、クライアントのデータを第三者に公開しないよう徹底しているところと、会社についての申し分ない評判、そして海外サポートも受けられることだった。というのも、ほとんどの会社が北米でのサービスのみだったんだ。利用する前に注意深く説明を読んでみて欲しい。実際すごくシンプルだけどね。僕自身もこのサービスの利用決定前に自分で試してみたんだ。詳しくはここを見てみて:https://paywithfour.com
送料一律

*この写真は加工されたもので、実際のものではないよ…イイ感じに見えるけどね!
知っての通り、COVID-19は特に発送に関して、AmazonやWalmartを除いて、多くの業者に様々なチャレンジをもたらした。それは限定コレクター・レコードを販売している僕らにとってもそうだったんだ。まぁ、COVID-19の前でさえ、カナダから海外発送をすると12~16週間かかり、追跡番号もなく、発送するたびに配送員がちゃんと扱ってくれるかはほとんど運任せみたいな状態だったんだけどね。だからこそ、あまりにも長い発送期間や追跡番号がつかない問題を解決するために、民間企業を利用することにした。でも、カナダ国内の民間企業に頼むのは予算的に不可能だったから、2週間に1度アメリカの国境まで運転して、カナダ国内よりも安かったアメリカの企業を利用することにしたんだ。だから、もしかしたら電話やメールを既に受け取ったかもしれないけど、僕らのチームメンバーの1人であるMarjoが、僕らの教会スタジオからアメリカの運送業者までみんなのパッケージを持っていき、そこから発送手続きをしているよ。そのおかげで、バカ高い送料をみんなに払わせることなく僕らのプロジェクトを共有できている。
それについて何度かディスカッションしたあと、民間企業を利用することによって発する送料をカバーするために、商品の値段を上げるのではなく、全ての商品で一律10ドルの送料にすることとした。正直に話すけど、商品の中には本来なら10ドル以下の送料のものもある。けど、実際にはもっと高い送料のはずだった商品もあるんだ。だから、ここ数ヶ月の送料の平均を基に、10ドルの送料をお願いするのは、発送サービスを考えればフェアじゃないかな、と思ったんだ。これから先、どうなっていくかは分からないけど、現時点ではこれでいこうと思ってる。
そして、14~16日ごとに定期的に商品を発送していくよ。
考える時間 - 思い巡らす瞬間

これまでここに書いてきたことがストアと“The Club”に関する最も重要な変化だよ。でも、それだけでなく、アートと商業について僕のヴィジョンや価値についても少しシェアさせてもらった。包み隠さず話すことは僕にとって大事で、決断の裏にあるプロセスや詳細についてみんなにも知ってもらいたいと思ったんだ。これは僕なりにみんなの友情や、サポートや信頼に敬意を示す方法だよ。
僕らの進化・発展し続けるプロジェクトについて、僕らと同じくらいみんなもワクワクしてくれていると良いな。プロジェクトはどれも、すごく感情的なものであるけど、今でも自分にとって新しい創作であり、人間的で解放的な旅路であるものについて分かち合えることを素晴らしく光栄に思っている…本当に深く意味のあることだ。
常にスーツケースを持ち歩いて、6ヶ月以上もツアーやスタジオで色々な場所を転々としてきたあと、ようやく家に戻ってくるのは、何だか変な感じがしてるけど、素晴らしいハイランドの山や森の中で、愛犬レナード&マッカイと一緒に少し休息することができて嬉しく思ってるよ。今は、これまでの18ヶ月を振り返って、この先、どんなものに命を吹き込みたいかを考える時間だ。僕は人生の大半、未知であることのぼやけた感覚を恐れて生きてきた。けれど、もうそれを恐れない。むしろ、目に見えないことを探ったり、次に何が待ち受けているのか不安になることなく目を閉じられるのは刺激に満ちているしね…なんとなく”生きている”ということの意味を知り始めているのかも。穏やかな復活がゆっくりと始まっている。
親愛なる友人たちのみんな、どうか気をつけて。そして希望に満ちた心を咲かせ続けてね!
君の友人であり兄弟

HOPEFUL TRAGEDY RECORDS
カナダはモントリオール郊外に位置する旧カトリック教会を本部として使用するHopeful Tragedy Recordsは、Alex Henry Fosterと彼の親友でありビジネスパートナーであり、バンド仲間でもあるJeff Beaulieuの2人で、独立系レコードレーベルとして、自分たちの音楽、プロジェクト、そしてヴィジョンを世界中の人たちと分かち合うために設立されました。
設立から10年、この2人は他のバンド仲間やチームメンバーと一緒に、今でも変わらない情熱を持って、夢の実現のために取り組んでいます。Alex Henry Foster自身のクリエイティブでアーティスティックなヴィジョンのもと、確固たるDIY精神と共に、創作、音楽やプロジェクトを展開しています。
THE FABRIK
充実した設備により製作が可能な限定&コレクターエディション旋盤加工カット・レコード、シルクスクリーン印刷ポスター、その他のグッズ等は、当レーベルのモットーである“the evidence of things unseen”(目に映らない物事の証)を正しく証明しています。どんなアイディアの閃きも、手で触れることのできる、長く楽しむことのできる創作に変え、普段なら不可能だとして、埋もれてしまうものを、あえて信じる人たちとの交流を生んでいます。目に見えなかったものが、徐々に形となっていくときこそ、信じる心が強まるときです。


